実は、父が40歳半ばで塗装の仕事を始めていまして、なので、私が2代目ということになりますね。
小学1年生の頃、絵を描く宿題がでましたら、父がしきりに近いものと遠くに見えるもので形や大きさが違うということ(遠近法)の手ほどきをしたものですから、子供の絵にしては立派な仕上がりになり、学校の先生からも褒められるものですから、自然と絵を描くことが好きになりました。
中学・高校と、好きな美術を学び、高校を卒業すると、割りと自然に塗装の仕事の世界に入っていきました。
当時は中学を卒業して働き始めている人が多かったですね。
私は塗装の仕事を20歳で始めたのですが、
同年代の職人さんは既に5年以上の経験があり、
一人前の職人として活躍していました。
そんな回りの環境ですから、少しはプレッシャーがありましたが、
焦らずマイペースで技術を習得していきました。
昔はペンキ屋と呼ばれ、雨が降ったら仕事が休みというスタイルでした。
「ペンキ屋にも市民権(?)を」、「かっこ良い仕事にしていきたい」などと考えるようになり、「天候に左右されないで仕事を進めたい」と、26歳の時に小さな工場を持ち、仕事を受けるようになりました。
工場で塗装というと、ロボットが設置されていて機械的な塗装を
イメージされる方もいらっしゃると思いますが、私の所は全て
「人間の手で仕事をするスタイル」です。
既製品の家具を大量に作るには機械化も可能と思いますが、
手作り家具ですと、そうはいきません。
個性を求める時代でもあり、細かい対応には
人間の手が一番なのです。
工場を持つようになり、店舗の仕事をお引受けすることが多くなりました。
店舗用の家具、什器などで、都会の店舗が多かったのですが、
当時は塗料メーカーなどの色見本もなかったので、
デザイナーや設計屋が要求する「色」がなかなか出来なかったですね。
最初は何がだめなのか、さっぱりわかりませんでした。
塗装は、最後の工程になります。そして納期(開店日など)が決まっていますが、私の所に投入されるのが1日遅れたりという事もよくあることで、納期の時間とのプレッシャーは相当で、鍛えられました。
また、家具の仕上げなどの製造を担当される職人の技によって、
塗装に影響が出たりします。
かんなで削ったままの状態と、サンドペーパーを当てた面では、
塗料の吸い込み具合が違ってきます。
上手にかんなを掛けた場合は木の繊維はそのままの状態ですが、
サンドペーパーを当てると繊維が崩れてしまうからです。
見た目にわからないキズの加工がされてあっても、
塗装工程ではわかったりします。
運搬時に雨が当たっても同様なことが起こります。見た目は乾いているのでわかりませんが、
これもまた塗料の吸い込み具合が違ってきます。
どちらの場合も、塗装の工程をもう一層重ねたり、工夫を施して仕上げていきます。
合板の物では壊れたら終わりになることが多くあります。
それに対し、ムク材で作られた物は、修理がきいたり、
塗装をしなおしたりすることで、長い間使えるものです。
親が使っていたものを子が引き継いだりすることも可能です。
新しく購入される時の金額ではなく、使われる時間の単価で
考える時代なのかもしれません。
ホームページをリニューアルするに当たり、
色々考え直してみましたが、
私たちの「売り(アピールポイント)」は、
「塗装の技術」にあることを再確認しました。
「自分でやってみよう!」という方の応援も引き続き行っていきます。
塗装の仕方だったり、塗料の購入だったり、私たちが持っている「技」をどうぞご利用いただき、皆様のライフスタイルにお役立ていただければ、と思っております。